ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか

就労支援の事業所で働く人の感想から

    就労支援の事業所で働く人が『ぷかぷかな物語』を読んで感想をアマゾンのレビューに書いていました。

       

 

 この本はある障害者就労継続支援事業所B型のお話ですが、同じくB型で働いている私としては全く違った視点で事業展開されていることに大きく関心をもちました。


 まず感じたことは障がいをもつ人たちを支援する対象とした見方でなく、「共にはたらく・生きる」同志として地域を巻き込み(耕す)ながら一緒に活動し、そのほうが絶対楽しいということ。そして持続性があること。

 

 「多様性を認め合うインクルーシブ社会の実現を」とどこでも耳にしますが、今の社会の在り方は、教育、就労が障がいをもつ人たちとそうでない人たちとを分けた制度の上で成り立っています。 分離が進むほどその社会の規範に縛られて、障がいをもつ人たちがその多様性を認めてもらうどころか社会に合わせるために押し殺さなければならない、ますます支援、配慮の対象にされてしまう。


 ぷかぷかさんのように障がいをありのまま楽しむ方法を作り上げれば、そこに生産性も生まれ、制度も使い倒し、地域も社会も豊かにしていくことを実現していけるのだなととても参考になりました。障がいをもった人たちと関わる仕事をされている方、学校教育関係の方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
 何より、ぷかぷかさんたちがとても魅力的です。

 

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 考え方の異なる事業所の本を読むのは、なかなかエネルギーのいることですが、感想を書いた方は、ちゃんと前向きの評価をされていて、心の広い方だと思いました。

 以前やまゆり園事件に関するブログで、「支援」という上から目線の関係こそ問題ではないかと何度も書いたせいか、「支援」という関係こそ大事と思っている福祉関係のサイト2ヶ所から排除されたことがあります。この時のことを思うと、今回の感想を書かれた方の批判もきちんと受け止める姿勢を高く評価したいと思うのです。

 

 

 《 障がいをもつ人たちを支援する対象とした見方でなく、「共にはたらく・生きる」同志として…》

 「同志」なんてことばが使ってありましたが、そんな大層な感じではなく、彼らは日々いっしょに働く楽しい「仲間」です。

 そこで生まれる楽しさをお客さんとも共有する。だから「ぷかぷかさんが好き!」というファンができた。障がいのある人達はなんとなくいや、という人が多い社会にあって、彼らのことが好き!なんて人が現れたことは全く想定外のうれしいことでした。

 

 

《障がいをもつ人たちを支援する対象とした見方でなく、「共にはたらく・生きる」同志として地域を巻き込み(耕す)ながら一緒に活動し、そのほうが絶対楽しいということ。そして持続性があること。》

 支援をしない関係の方が、絶対楽しくて、持続性がある、という指摘はすばらしいですね。支援という関係は、相手と日々を楽しむことを大事にしないのだと思います。人生においては、日々を楽しむことこそ大事だと思うのですが…

 一つ付け加えるとしたら、支援をしない関係だからこそ、今までにない新しいものが生まれます。支援という関係では、支援をする側の幅のものしか生まれません。あんなに素敵な人達がいるのにもったいないです。

 支援をしないと、彼らの持っているよさがそのまま出てきます。

 

 

   こういったものを発信し続けてきたた結果、今回横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞することになりました。こういったものを新しい文化として評価してくれたからだと思います。

 

 

 《「多様性を認め合うインクルーシブ社会の実現を」とどこでも耳にしますが、今の社会の在り方は、教育、就労が障がいをもつ人たちとそうでない人たちとを分けた制度の上で成り立っています。 分離が進むほどその社会の規範に縛られて、障がいをもつ人たちがその多様性を認めてもらうどころか社会に合わせるために押し殺さなければならない、ますます支援、配慮の対象にされてしまう。》

 鋭い指摘です。この問題をどう乗り越えていくのか。

 私は制度としてわけられた養護学校で、知的障がいの人たちと出会い、彼らに惚れ込んでしまいました。彼らとずっといっしょに生きていきたいと思い、学校を定年退職後、彼らといっしょに生きる場として「ぷかぷか」を立ち上げました。

 「惚れる」というのは、かくも簡単に制度を乗り越え、問題を解消してしまうのだと思います。

 

 

《障がいをもつ人たちがその多様性を認めてもらうどころか社会に合わせるために押し殺さなければならない》

 ぷかぷかでは、障がいのある人達が社会にあわせるために自分を押し殺すのではなく、そのままのあなたがいちばん魅力的、といっています。その魅力に気づいた人達がぷかぷかさんたちのファンになり、お店を支えてくれています。

 

 

《障がいをもつ人たちが、ますます支援、配慮の対象にされてしまう。》

 ぷかぷかは障がいを持つ人達を支援するよりも、彼らに支援されています。だって、彼らがいなければ、どこにでもある、おもしろくもなんともないただのパン屋です。彼らがいるからこそ、とんでもなくおもしろいパン屋になっています。楽しい、ちょっとホッとできるようなパン屋です。私たちだけでは、こんな楽しいパン屋はできません。彼らに支援されているパン屋なのです。

 

 

《ぷかぷかさんのように障がいをありのまま楽しむ方法を作り上げれば、そこに生産性も生まれ、制度も使い倒し、地域も社会も豊かにしていくことを実現していけるのだなととても参考になりました。》

 以前、ぷかぷかさんたちを社会にあわせるようなことをやった時、なんだか「気色悪い」と思い、社会にあわせるのをやめました。障がいのある人達を社会にあわせるのではなく、そのままのあなたがいちばん魅力的、とそのままの彼らで働いてもらっています。そんな彼らの魅力に気づいた人達が「ぷかぷかさんが好き!」とファンになり、お店の売り上げを生み出しています。

 障がいのある人達の魅力に気づくことは、そのまま社会が豊かになることにつながります。そういったことが、日々の営みの中で実現できていることがぷかぷかのいいところだと思います。

 

 

『ぷかぷかな物語』はぷかぷかのサイトから手に入ります。

shop.pukapuka.or.jp