ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか

養護学校の子どもたちに感謝!

 昨日静岡から11名もの方が見学に見え、リーダーの方が

「ぷかぷかには福祉の匂いがしない」

とおっしゃっていました。

 福祉の匂いがしない、とはどういうことか。

 福祉事業所にある「利用者さんがいて、指導者がいて」という、そういう人間関係がぷかぷかにはなかったということだと思います。どこまでも一緒に仕事をする関係。

 そういうフラットな関係がどこから生まれたのか、を考えてみます。

 

 ぷかぷかを始める前、私は養護学校(今でいう特別支援学校)の教員をやっていました。教員というのは生徒を指導します。私は30歳で教員になったこともあって〔つまり社会人の生活がまずありました)、この「指導する」という上から目線の学校用語(言葉)がどうもしっくりきませんでした。

 生徒たちは言葉がしゃべれないとか、字が書けないとか、うんこの後始末ができないとか、できないことはいっぱいありましたが、それでも彼らを指導する、という言葉には、どうしてもなじめませんでした。

 そんなえらそうなこと口にするほどの私は人間なの?というような問いです。学校にはそんな風に考える人はいませんでした。だから当たり前のように「指導する」という言葉がまかり通っていました。

 色々できないことは、ふつうに教えてあげればいいだけの話であって、指導なんてえらそうな言い方しなくてもいいじゃん、て思っていました。ですから、生徒たちとはふつうにつきあっていました。

 ふつうにつきあってなんの問題もありませんでした。こちらが教えたいことはちゃんと伝わったし、教わることもたくさんありました。

 こんなステキな人達がいたんだ、という気づきは、私にとってはとても大きいものでした。人間を見る目を大きく変えてくれました。世界が違って見えた感じ。

 

 その時の気づきが今のぷかぷかにつながっています。障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい。そうすることで私たちが、そして社会が豊かになる。

 それらはすべて養護学校の子どもたちに教わったことです。あらためて子どもたちに感謝!です。

 

うまくかみ合わないところがおもしろい

 テレビ神奈川が取材に来ました。3月16日(土)18:00〜18:30 「ハマのパン祭り」というタイトルで、四つくらいのパン屋が紹介され、その中の一つに「ぷかぷか」のパン屋が紹介されるそうです。

 

 おもしろかったのは、若い女性のナビゲーターがショーへーさんに色々質問をするのですが、ショーへーさんが相手ですから会話がうまくかみ合いません。少し困っていましたね。

 私はそのかみ合わないところがすごくおもしろかったのですが、ディレクターはどんな風に受け止めたのでしょう。

 

 会話は障がいのある人達との大事なおつきあいの一つ。それが楽しめるかどうかはとても大事なことです。

 ショーへーさんも、色々指導すれば、もう少し会話がうまくいくのかも知れません。でも私は、今のかみあわなさが好きです。ショーへーさんらしさがとてもよく出ていると思うからです。そこを大事にするかどうか、ということだと思います。

 

 

 ハマナビはこんな感じ。

www.tvk-yokohama.com

お互いが生きやすい社会を創り出すために

心がほっこりあたたかくなるような絵です。

 こんな絵を描くぷかぷかさんは、やっぱり町の宝物だと思います。

 障がいのある人が町の宝物。みんながそう思えるようになれば、この社会は誰にとっても、もっともっと生きやすい社会になると思います。

 障がいのある人達とどうつきあっていくのか、という問題は、結局のところ私たちがどんな社会をつくりたいのか、ということだと思います。

 共生社会社会を作ろう、とか、ともに生きる社会を作ろう、ということはかなり昔からいわれていますが、今ひとつ抽象的な言葉でとまっている気がします。

 そんな中にあって、ぷかぷかはぷかぷかさんたちといっしょに生きるってどういうことなのか、どんな社会が実現するのか、を具体的に示し、それを発信してきました。

 先日おこなった『表現の市場』もそのひとつです。

www.pukapuka.or.jp

日々のFacebookでも、撮りためたぷかぷかさんたちの写真をアップしています。

たとえばこんな写真です。

今日のお惣菜メニュー。すべてヨッシーが考えた絵のメニューです。私たちが作るような活字のメニューの何倍もいいです。


牛めしの宣伝

 

テーブルクロスにこんな文字が

 

牛?

 

Tシャツの襟元にちょっと眠そうなネコの刺繍。眠そうな目がなんともいえずいい。

 

  「障害者はいろんなことができない」という偏見がまだまだあります。彼らの創り出すもの、まさに創造したものを日々発信することで、そういった偏見を少しでもなくし、お互いがもっと生きやすい社会を創っていきたいと考えています。






 

 

 

ぷかぷかさんのいる町

 相模原事件の起こった翌年だったか、上智大学の学生さんから事件を超えるための手がかりになるような映像をつくりたい、と連絡があり、何回かぷかぷかに取材に来てつくったのがこの映画『ぷかぷかさんのいる町』

 

www.youtube.com

 

 10分ほどの短い映画ですが、ぷかぷかさん達がこの町で何をやり、どんな風に耕しているかが、ほんの少しですが見えてきます。

 すぐ近くの郵便局の局長さんの話がいいです。地域を耕すってどういうことか、耕される側の言葉です。こうやって地域社会が豊かになっていくのだろうと思います。

 

 やまゆり園事件に衝撃を受け、なんとかそれを超える手がかりをつかみたいと学生さんはカメラを提げてぷかぷかにやってきたのですが、できあがった映像は特に事件にふれるわけでもなく、それでいてぷかぷかさん達が毎日元気に働くことで、町を耕している、豊かにしていることがなんとなく見えてきます。そういったことをみんなで共有することが事件を超えていくことにつながるのではないかと思いました。

 

 大学で映像の勉強をしている方がいましたら、ぜひ腕試しのつもりでぷかぷかを撮りに来て下さい。いろんな人がいろんな角度からぷかぷかを語ることが大事だと思います。

「仕事観」

 仕事のエンジンがかからないのか、こんな感じで寝ている人がいました。

 

 こうやって寝てられる雰囲気がぷかぷかにはあります。私自身すぐそばで仕事をやっていたのですが、特に注意するわけでもなく、こうやって写真撮ったりしていました。

 これが

「仕事中寝てたらだめじゃないか」

って叱られる雰囲気だと、お互いが疲れます。

 

 そういえば養護学校で教員をやっている頃は、実習に行く生徒に

「仕事中寝たりしてはいけない」

なんて教えていました。今思うと、そういう「仕事観」でやっていたのですね。

 ところがぷかぷかを始めてから写真のような人がいても、何も言わなくなりました。何も言わないどころか、こうやっていられる雰囲気こそ大事、と思うようになりました。

 ひょっとしたら私自身、学校という管理組織から自由になれたからかも知れません。同時に彼らにあわせた方が、お互いが楽なる、ということが彼らとの日々の暮らしの中でわかってきたからだろうと思います。

 いずれにしても、彼らから教わったことです。

「障がいのある彼らから教わる」

というところがポイントです。彼らを支援する、という発想から自由になれないところでは、彼らから何か教わる、といったことはないのでしょうね。ステキな人達がそばにいながらもったいない話だと思います。 

ぷかぷかに来るとやっぱりホッとしますよ

 映画『Secret of Pukapuka』の中で、毎日こどもと一緒にクリームパンを買いに来ていた近所のオーヤさんがこんなことを語っています。ぷかぷかさん達とお友達になって色々見えてきたことです。

 

 「ぷかぷかさん達は街を耕している」「街を豊かにしている」といつも言ってるのですが、そのことが実際に街の人にとってどうなのかということをオーヤさんは語っています。  

 「ちょっと上から目線で見ていた自分がいたかも知れない」

でも、ぷかぷかさんとおつきあいするようになって

 「別に自分がすごいと思わないようになりました」

 『共生社会』とか『ともに生きる社会』とかについて、あーだこーだ小難しいことをいわなくても、ぷかぷかさん達との日々のおつきあいが、こんな風に街の人を変えたのです。障がいのある人達といっしょに生きていくことの意味がよく見えます。彼らが社会を豊かにする、というすばらしい仕事をしていることがよく見えます。

 ポイントは、彼らとふつうにおつきあいすることです。何かやってあげるとか支援するといった上から目線ではなく、フラットにふつうにおつきあいすることです。

 オーヤさんはお店にクリームパンを買いに来て、店員さんとしてふつうにおつきあいしていました。これがよかったと思います。そして何よりも彼らとふつうにおつきあいできる環境がぷかぷかにはあったこと。支援することに熱心な福祉事業所では、なかなかそうはいきません。

 以前、利用者さん達がお客さんに対して間違いを起こさないようにと利用者さん達のそばにスタッフがピタッと張り付いてピリピリした雰囲気のお店に行ったお客さんが、

「いやぁ、ぷかぷかに来るとやっぱりホッとしますよ」

とおっしゃったことがありますが、お客さんは敏感に雰囲気を感じ取っています。「ぷかぷかに来るとホッとする」という言葉が、本質を言い当てています。

 どうして彼らに任せないのだろうか、と思います。ちょっとくらい間違えたっていいじゃん、そんな風に思えばお互いがもっと楽になるのに、と思います。

 

 映画『Secret of Pukapuka』は障がいのある人達が街を耕している様子がよく見えます。ぜひ地域で上映会をやってみて下さい。いろんな気づきが生まれます。その気づきは自分を、そして地域社会を豊かにします。

 問い合わせは高崎まで。takasaki@pukapuka.or.jpにメール下さい。