ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか

未来へつながる「しんごっち展」

 伸吾さんが亡くなって一年がたちます。お母さんにとっては本当に辛い日々だったと思います。その辛さの中で、お母さんはひと月ほど前、親子で辛い思いをしている人たちの安らぎの場所「横浜小児ホスピス」を立ち上げるお手伝いを始めました。

 余命宣告を受けながらも、なおもその中で子どもが夢を追い続けられるような、楽しい時間を過ごせるような、そんな環境を作りたい、というお母さんの思いは、伸吾さんの最後の日々を支えたお母さんの思いそのものだったと思います。私はそのことを伸吾さんのお見舞いに行く中で気づかせていただきました。

 いつも楽しいことを追い求めていた伸吾さん、いつもわくわくするような企画を密かに持っていた伸吾さん、それを最後まで支え続けたお母さん、人生の最後で何が大事なのかを、私はお二人から学ばせていただきました。

 お母さんがお手伝いをされている「横浜小児ホスピス」の立ち上げの趣意書を紹介したいと思います。ホームページのアドレスも載っていますので、ぜひのぞいてみてください。

 「しんごっち展」が、ただ単に伸吾さんの思い出話や、「いい絵だね」といった話に終わるのではなく、こういう未来への活動につながっていくといいなと思っています。人生の最後の最後まで楽しいこと、わくわくすることを追い求めた伸吾さんは、そのことの大切さを身をもって教えてくれました。お母さんの思いに共感できたのも、伸吾さんがそういう生き方を最後まで見せてくれたおかげです。それがなければ、人生の最後の時まで子どもが夢を追い続けられるような環境を作りたい、というお母さんの言葉は、実感として自分の中に落ちなかっただろうと思います。

 お母さんが「横浜小児ホスピス」の立ち上げのお手伝いを始めたのは、やはり伸吾さんの生き方がお母さんの背中を押したんだと思います。そしてそのお手伝いは、お母さん自身が悲しみに暮れる毎日から、一歩前に踏み出し、希望に向けて生き始めることだったのではないかと思います。

 伸吾さんは仕事の帰り、藤が丘の駅で見た夕焼けがきれいで、すぐに写真を撮り、お母さん宛に「今、夕焼けがきれいだよ」ってメールを送ったそうです。下の写真がそれです。今もどこかで前に向かって生きるメッセージをお母さんに送ってきているのかも知れませんね。

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横浜に小児ホスピスを創りたい

         認定NPO法人スマイルオブキッズ 代表理事 田川 尚登
   イギリスには地域住民の寄付で成り立っている小児ホスピスが現在52か所ありますが、日本ではまだ1か所、大阪に淀川キリスト教病院が運営する施設が存在しているだけです。
  この活動のきっかけですが、1997年幼稚園児であった私の娘(6歳)が頭痛や吐き気を訴えましたが、すぐに診断が出ず、3か所の小児科を経て総合病院で、神経の集まっている脳幹に腫瘍が見つかりました。その時点で余命半年を告げられました。
・・・宣告通りの6年半の一生でした。
   私にとってこの半年の時間に娘を通して大変意味のある経験をさせていただきました。脳腫瘍でも幼児期に発症する悪性の脳幹グリオーマは現在でも治療方法は無く死を待つだけなのです。よって余命時間の使い方が子どもにとっては重要になります。家族との楽しい時間を過ごすことが、また好きなことに時間を費すことが思い出づくりになります。病院で過ごすよりは免疫力が上がり、延命時間が延びるかもしれません。
   私たち家族も娘の意思に従って時間を過ごしてきましたが、娘との旅行後、病院で呼吸が止まってしまいました。呼吸器で一命は取り留めたものの脳死に向かっていきました。主治医や医療スタッフと協議を重ね、呼吸器を外す日にちを決めて関係者に看取られ旅立って行きました。
   それから5年後、彼女の生まれてきた意味がこの一生にあったのではないかと思い、病気や障害のある子どもとそのご家族の支援するためのNPOを立ち上げ、娘がお世話になったこども医療センター近くの病院OBたちと協力し、全国から難病の治療に来られる家族対象の宿泊施設「リラのいえ」を募金を募り、6年前にオープンできました。年間4500名の海外や国内のご家族に利用されています。
   私たちNPOの最終的な夢は家族支援の先に重篤な病気や障害を抱えている子どもの支援です。それは余命の時間などを宣告された子どもたちの生の充実を支援していくことです。決して死を待つまでの時間を過ごすということではなく、楽しい時間の支援をご家族と一緒に考え、共に過ごす「夢の我が家」なのです。子どもが抱く夢を叶えていく施設なのです。
   この夢に一歩近づくための支援が昨年NPOにありました。同じ夢を持っていた元看護師の石川好枝さんのご意志でした。彼女に残された遺産を小児ホスピスに使いたいという夢でした。娘からの体験と石川さんとのご縁で一歩踏み出すことになり、昨年8月横浜小児ホスピス施設準備委員会を発足しました。委員会のメンバーは、多くのホスピスには欠かすことができない専門的な方に参加していただいています。音楽の力を借り、今年1月23日に横浜にある県立音楽堂で旗揚げのチャリティーコンサートを皮切りに5月、7月、8月、12月と音楽家の協力を得たチャリティーコンサートを開催し、社会への広報活動と募金活動を行っていき、3年後に目標額が達成ができれば5年後に施設が開設できるのではないかと考えています。
   小児ホスピスが開設できれば、病院と在宅だけで過ごすのではなくデイサービスの提供と家族と共に安心して過ごせる宿泊、その子どもに合った夢プログラムを提供し、ご家族やきょうだいの精神的ケアなど負担を軽減することで、現在おかれている重篤な子どもたちとご家族のさらなる支援につながります。
   それぞれの子どもたちの生きた証を社会に伝えていきたい。医療が進み出産などで救われる命が増えている現在、命についてもっと真剣に考えていくプログラムを学校教育に取り入れ、このような子どもたちのミッションを生かしていけばもっと子ども達が夢を持ち、その夢が実現できる思いやりのある社会になるのではないでしょうか…。
   夢の一歩を踏み出すことができた石川好枝さんと娘のはるかさんに感謝する気持ちを忘れずに活動を続けていきたいと思います。
   つきましては、この活動に賛同して頂ける方々のお力をお借りすることで社会への周知、併せて募金のお願いをしております。
詳しくは「リラのいえ」を運営するNPO法人スマイルオブキッズのホームページに詳細を載せていますので、そちらをご覧ください。
 
ホームページ
 
 
 
★しんごっち展の会場でも『横浜小児ホスピス』建設への募金箱を置きます。