ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか

「ぷかぷかさん」というとき「ああ、ぷかぷかさん」とやさしいこたえがかえってくるような社会

 栗原貞子さんの詩に

 

 「ヒロシマ」というとき「ああヒロシマ」とやさしくこたえてくれるだろうか…

 

という言葉で始まる詩があります。「ああヒロシマ」とやさしいこたえがかえってくるためには、わたしたちは何をしなければならないかを語った詩です。

 

 先日オーヤさんの感想の最後にあった

《 本番の次の日、乗っていたバスの窓から、野菜をせっせと運ぶスタッフとぷかぷかさんを見つけ、「今日もこの街を耕してくれてるんだ」と、この日常の風景にもまた私は自然と笑顔になっていました。 》

の部分を読みながら、ふいにこの詩の始まりの言葉を思い出していました。

 

 「ぷかぷかさん」というとき「ああ、ぷかぷかさん」とやさしくこたえてくれるだろうか

 

 オーヤさんは、それをやってくれているんだと思ったのです。乗っていたバスの窓から、野菜をせっせと運ぶスタッフとぷかぷかさんを見つけ、「今日もこの街を耕してくれてるんだ」と笑顔になった、というのですから。

 「障害者」と聞いただけで、なんとなくいやだなとか、おつきあいしたくないな、と思う人の多い社会です。「うちの近所には住んで欲しくない」と「障害者のグループホーム、絶対反対」と大書した看板を街道沿いに立てた住民もいました。そのことでグループホームの計画がつぶされました。そして相模原障害者殺傷事件。

 そんな社会にあってオーヤさんのこの感覚は、時代のはるか先を行っている感じがするのです。しかもその感覚が、ぷかぷかとのおつきあいの中で生まれた、ということがとてもうれしいです。

 

 相模原障害者殺傷事件を超える社会とはどういう社会なのか。それは、たとえば

 「ぷかぷかさん」というとき「ああ、ぷかぷかさん」とやさしいこたえがかえってくるような社会

 ではないかと思うのです。そんな社会を作っていくヒントをぷかぷかは作り出しているのではないか、とオーヤさんの感想読みながら思いました。

 

オーヤさんの感想はこちら

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

 そういえば以前、団地の中でぷかぷかしんぶんをポスティングしているうちに、どっちを見ても同じような建物が並んでいて、迷子になってしまったメンバーさんがいました。そのとき「今、うちの近くでぷかぷかさんが迷子になっていますよ。迎えにきてあげてください」と電話がかかってきたことがありました。そのときの「ぷかぷかさん」ていう言い方が、とてもやさしい響きを持っていました。

 そんなおつきあいを日々の活動の中で作り出すこと、そのことがとても大事な気がしています。

 

  栗原貞子さんの詩はこちら 

takasakiaki.hatenablog.com

 

キフ男くんが登場

 オペラ『ロはロボットのロ』の公演に向けて、寄付を呼びかける「キフ男くん」が登場しました。

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 ヨッシー画伯の作品です。昨年は「キフ子さん」が登場し、たくさんの素敵なお話を提供してくれました。今回のキフ男くんのまわりには、どんなお話が展開するのでしょう。最終的には3月25日(土)の『ロはロボットのロ』の公演会場でキフ子さんと出会うといいなと思っているのですが、思惑通りに話が展開するのかどうか。

 キフ男くんにはしっかり寄付を集める仕事をして欲しいのですが、初日から「?」が描いてあったりして、大丈夫かなと不安になります。

  

 オペラ『ロはロボットのロ』の公演には、公演費用、会場費、印刷代、ピアノ調律代、歌のワークショップ費用など、約120万円ほどかかります。大人(4000円)が150人、子ども(500円)が150人入ったとして、チケットの売り上げは675,000円。残り522,000円を寄付でまかないます。(子どもを二人以上連れてくる大人がたくさんいると、チケットの売り上げが減ることになり、寄付がもっと必要になります)

 そんなにたくさんの寄付を集めるなんて無理だよ、といってしまえば、この話はここでおしまいです。でも、子ども達の心を豊かにするひとときの夢の世界をプレゼントしたいって考えている人たちはきっといる、って思えば、ここから希望が生まれます。「子ども達にオペラを・ゆめ基金」のスタートです。

 未来は今よりもっと素敵になる、そう信じて日々「ぷかぷか」を運営していますが、「子ども達にオペラを・ゆめ基金」も、そう信じるところから生まれた企画です。

 パン屋、カフェ、おひさまの台所に寄付箱が置いてあります。そこにあなたの夢、あなたの思いを入れてください。

 寄付金付きコーヒー1,000円で、パン屋、カフェで販売します。子ども達の笑顔を思い浮かべながら飲んでください。

 寄付は郵便振替口座も利用できます。

 振替口座は 口座記号 00260-4  口座番号 97844

       加入者名 NPO法人ぷかぷか

 公演のチラシはこちら

http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?ロはロボットのロ%E3%80%80%E3%80%80チラシ

 

pukapuka-pan.hatenablog.com

 



なんて自由なんだろう

 コンビニでバイトしている方が、表現の市場のチラシをお店においてくれました。福祉に全く関係のないこういうところでチラシを置いてくれることがうれしいですね。こういう広がりこそが、今、必要なんだと思います。そのチラシを置いてくれた方が感想を送ってくれました。

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『なんて自由なんだろう』
『なんだなんだ、この衝撃的なものは…』
これは率直な感想です。

『障害のある人たちと一緒に過ごしていったほうがいい』高崎さんの言葉。

私も幼少期から障害のある子と共に育ってきたこともあり、心ではわかっていたはずだったけれど、改めて高崎さんから言葉で聞いたとき、目が覚めた感覚でした。
その答えは、表現の市場で見せるからね、と高崎さんにお誘いを受けて、娘たちを連れ表現の市場を鑑賞にいきました。


温かさ・優しさ・強さ
心から楽しんでるぷかぷかさんたちのありのままの姿、輝いている目、自然と支え合う心、とにかくそこにいる仲間が力を合わせるときに発揮する強さに感動‼

あらじんの太鼓演奏の力強さにいきなり引き込まれ、葉っぱオールスターズのラップに涙し、デフ・パペットシアター・ひとみの人形劇に感動し、レクイエムを聴きながら、忘れてはいけない相模原事件、これから先同じような事件が繰り返し起こらないようにと心から願い、そして犠牲者の方への思いを改めて胸に。
ぷかぷかさんたち主演のセロ弾きのゴーシュには、笑いもあり、感動もあり、私たち健常者では出せない何とも言えない間や表現。ここまで味が出せるのは彼等しかいない。私も娘もその魅力にすっかり引き込まれていました。

終演した時の娘の言葉
『障害のある人が本当に演奏をしたり、演劇をしていたの?誰がどんな障害を持っているかもわからなかったよ。本当に楽しかった、凄かった、カッコよかった!!』
娘たちもぷかぷかさん達の魅力に自然と気付かされていました。
障害のある人は何もできないという勝手な人間社会の思い込み、そういう大人が増えれば当然、子どもたちは、当たり前にそう思い込んでしまう。
『共に生きる』事の大切さを改めて再認識しました。


彼らにしかない魅力、彼等から学ぶことが沢山ある。また彼等も健常者から学ぶ事もきっとあるでしょう。


『自分らしく生きていこう』と言ってもらえてる気がして、帰り道、心が軽くなる感じでした。

こんな素敵な場所が私の住んでいる地域にあること、私が今、感じたことはこれからも発信し続けていきたいと思います。

そして私は、学校という社会でもこんな環境がどんどん増えてくれたらいいなと強く強く思いました。
学校という環境がぷかぷかのようになった時、日本の未来はとても明るいなと心から思いました。

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 「帰り道、心が軽くなる感じでした。」というところがいいですね。彼らとおつきあいする、一緒に生きていく、というのは、要するにそういうことだと思います。

私が真剣になり夢中になり…

 オーヤさんは子どもと一緒に毎日のようにクリームパンを買いに来たことがきっかけでぷかぷかとお友達になり、その後パン教室に来たり、わんどのワークショップに参加。そして今回演劇ワークショップに参加し、なんとみどりアートパークの舞台にぷかぷかさんたちと一緒に立ちました。本番直前には緊張のあまり、目が真っ赤になって涙がこぼれるほどでした。

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 本番前、緊張と自分が勝手に作ったプレッシャーから
セツさんと高崎さんの前で目から溢れるものが。
みんなで楽しむはずが、ガチガチになっていました。

 本番。少し気持ちが吹っ切れ、とにかく楽しくやろう。
そうしないと、見ている家族に伝わらない。そしてこれまでの
楽しかったワークショップを思い出し、舞台にのぞみました。

 本番終了。楽しかった!というよりは、来月からワークショップがないんだ。
という寂しさが。そんな風に感じた自分に少し驚きを感じました。

というのも、

私は積極的にワークショップ参加を希望したわけではありませんでした。
「今年は出るんでしょ?」「絶対楽しいって!」と高崎さんに言われても
全く参加したいとは思いませんでした。
ひと前で演技する、舞台の上に立つのが絶対嫌だったから。
そんなある日「騙されたと思って出てみたら?」の言葉で、
「娘にとっていい体験になれば」と思い、娘二人と一緒に参加する事にしました。

いざワークショップがスタート。
出されたお題を表現するにも、自分がどんな風に見えるのかを考えると
恥ずかしくて、恥ずかしくて。
でも、回数を重ねていくうちに、何をするにも一生懸命で、でも笑う時はケラケラとにかく笑う。そんなスイッチの切替がうまい高崎さんやぷかぷかさんを見て
何だか気持ちが楽になり、少し自分の殻が破れたように感じました。
9時〜16時の長丁場。毎回確かに疲れます。
でも、大声で発声したり歌ったり、夢中になって体を動かし、意見を出し合ったり、
一つの事が出来上がっていく凄さだったり、お菓子やお弁当を食べながら
皆んなで過ごす休憩時間だったり。本当に充実した時間でした。

何時間も一緒に過ごすと、今まで知らなかったぷかぷかさんを知る事もできました。
子供が大好きなぷかぷかさん
暴走するぷかぷかさんに対して、それを止めようとするぷかぷかさん
娘が泣いていたら(原因は親の私)、「俺じゃないよ」「俺は泣かしてないよ」と心配するぷかぷかさん
「午後も頑張ろう」とそっと私に宣言してくれたぷかぷかさん
静かに出来ない娘に対して注意するぷかぷかさん
などなど。

「娘にとっていい体験になれば」と思い参加したのに、
私が真剣になり夢中になり、また、知らなかったぷかぷかさんの側面を愛おしく感じたり。
私をワークショップに送りこんでくれた高崎さんに感謝の一言です。

本番の次の日、乗っていたバスの窓から、野菜をせっとと運ぶスタッフとぷかぷかさんを見つけ、「今日もこの街を耕してくれてるんだ」と、この日常の風景にもまた
私は自然と笑顔になっていました。

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(四角い木枠のすぐ左がオーヤさん。「よかぜとどろき」の歌を堂々と歌っています)

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 街を耕している、という言葉はこのプロモーションビデオの中でオーヤさんが語っています。

www.youtube.com

 

 子どもと一緒にクリームパンを買いに来ていただけのお客さんが、ぷかぷかさんたちといっしょに舞台に立ってしまったなんて、すごいことだと思います。

 《「娘にとっていい体験になれば」と思い参加したのに、私が真剣になり夢中になり》というところがすごくいいですね。よくある「福祉事業所をお手伝いした」とか「障がい者とふれあった」といったレベルではなく、オーヤさん自身が夢中になるものを見つけた、ということです。

 涙が出るくらいの緊張感で舞台に立ったオーヤさん、障がい者を差別するとかいった世界のはるか先に行ってしまった気がします。今後がすごく楽しみです。

カフェの壁に春が…

 カフェの壁がとても楽しくなっています。

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 で、今日、ぷかぷかアートディレクターの金子さんが来て、絵が春に向かって少し変化しました。 

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 絵の具が乾き次第カフェの壁に飾ります。ぜひ見に来てください。毎週、少しずつ変化します。楽しみにしていてください。

 こういうことを藤が丘駅前のマザーズでもやってみたいと思っています。

ぷかぷかさんの傍にいたから、こんな世界を見られた。

 おひさまの台所の「イカけんちん」が大好きというお客さんがワークショップに参加し、感想を書いてくれました。ぷかぷかさんたちの自由さの中で、ようやく素の自分で立つことができたと書いています。
 
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 ある日、出会ったのがぷかぷかさん。自由だな、勝手だな、おっ、鼻ほじってるな、挨拶無視された~、屈託ないな。印象多色。けど何か魅かれる・・・メンバーさんがそのままで、そこに居る、それがなんせ、居心地が良い。ありのままって、こんなに平和?肩ひじ張らない人の横では、自分も上着を脱ぎたくなる。「どうあるべきか」を強く求められない場所と人は、密かなパワースポットになった。
 
  今回参加するにあたり、決めていたのは「ありのままでいたい」「決して頑張リモノにならない」事。無理しない、手を抜きたければ手を抜くし、ズルしたければズルもする。いつもと逆な事への挑戦。あまり大きな声では言えないですね。頑張り癖が付いてると、急には、ガンバラナイモノにはなれない。けど・・ぷかぷかに行く度、WSで過ごす度、メンバーさんと言葉や笑顔を交わす中、自分も、自分のありのまま界に、時々行ってみるようになりました。
 
 最初は小さなこと。その内ちょっと大きな事も。足を踏み入れて、度々行くようになるとなかなか良い感じになってきます(笑)面倒な事は、ガチで向き合うより、とりあえず寝てしまうとか、舞台のヤヤコシイ歌詞はハミングで済ますとかね。まあいいか、も多くなります。
 
  舞台は、無理のない域最大の頑張りで臨み、心底「素」でありたい。自分を自分以上には見せられないし、見せる必要もないし、セリフや出方を間違えたら、それはその時の事だ、の気持ち。その場の サイコロの目がなんと出ようと、素の自分が、そのまんまで受け止めるんだという覚悟で参加しました。偶然、我虎チームが踊った「アルゴリズム体操」に「吸って吐くのが深呼吸」と言う歌詞がありました。
 
  まさに市場で空気を吸って、吐いた時、ここには、ちゃんと素の自分が立っていた気がします。あ、頑張らなくても、ありのままでも、ちゃんと立ってる。ちゃんと幸せ。ありのままの自分でもダイジョウブ、これは嬉しかったですね。まったく緊張せず、いつ緊張するのかと思っていたら、終わってました(笑)この空気、感覚・・これが私の素なのか・・・いつも着こんでいたから、何が素なのか忘れていました。
 
  そのままの自分で居るって、こんなに穏やかだとは・・・普段、疲れたハズだ(苦笑)私の欲しい物・・超のつく努力をしなければ手には入らないかもしれない、でも、ストレスや、飢えに吠えなくても、それとは別にちゃんと幸せな場所もあった訳です。ぷかぷかさんの傍にいたから、こんな世界を見られた。素の自分が穏やかな、シンプルなものだったと知った。そうなれるとも知った。色んなものにまみれてしまう時もあるけど、この根っこは、ちゃんと覚えておきたい。これからは・・何かが柔らかくなる気がします
                                 まーさん
 
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  障がいのある人たちに対して「何かやってあげる」関係、あるいは「支援する」関係がほとんどの世の中にあって、まーさんが作った関係は、こちらが豊かになる関係です。ぷかぷかが日々発信している「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」を丁寧に実践している人だと思います。
 
 たまたま今日出版社の人と話をする機会があって、相模原障害者殺傷事件のことが話題になりました。容疑者は元施設の職員。その施設では障がいのある人たちとどんなおつきあいをしていたのでしょうね、と聞かれました。発想の特異性はあったにせよ、人としてちゃんとおつきあいする雰囲気が現場にあれば、もう少しちがった結果になったのではないかと思います。家族に障がいのある人がいながら障がいのある人に対して暗いイメージしか持ってなかった方が、カフェに来て、楽しそうに笑顔で働いているぷかぷかさんたちをみてびっくりした、とおっしゃってました。こういうあり方もあるんだ、と目から鱗だったようです。現場にそういう雰囲気があれば、多分あのような惨劇には至らなかったのではないかと思います。
  ある新聞は県からの運営費が年々削られていったことが介護の質を落とした、といったことを書いていました。運営費は大きな問題だとは思います。でも、お金が潤沢にあれば働く人も利用者さんたちも明るい笑顔になるかといえば、どうもちがう気がします。ぷかぷかはお金はありませんが、スタッフもぷかぷかさんもみんな楽しく働いています。やっぱり障がいのある人たちとどんなおつきあいをしようとしているか、だと思います。そういうおつきあいの中で、今回紹介したまーさんのような人も出てくるのだと思います。