ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか

あなたととなりのかずやさん

 先日の一矢さん、

「うるさくしないの」

と何度も大声を出しながら、コーヒーカップ作りました。

  集中する目がすばらしくいいです。一矢さんの気持ちがよくわかります。

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  介護者と一矢さんの連係プレー

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かずやクッキーができました。ぷかぷか焼き菓子工房が焼きました。文字と絵はぷかぷかさん。

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 似顔絵の下に

「いつも大声出してごめんなさい」

みたいな吹き出しを入れる予定です。文字は一矢さんが書く予定です。わんどに置いてあった書道の道具一式を持ち帰りました。

 

 

 一矢さんの大声に対し、先日一矢さんの部屋に直接苦情が来たそうです。介護者派遣事務所の苦情の窓口に電話するだけでは何の解決にもならないので、直接文句を言いに来たようです。介護の人はひたすら謝るばかりだったようです。

 一矢さんは「静かにして下さい」といっても聞いてくれる人ではないので、苦情を言いに来た人を前に、本当に困ってしまったと思います。

 一矢さんはいつも「うるさくしないの」といわれるせいか、余計に「うるさくしないの」と大声で言ってしまうようです。先日の陶芸教室ではずっとその大声が出ていました。いつまた苦情が来るかわからないので連休明けに「友達大作戦」開始します。

www.pukapuka.or.jp

 花の植わった植木鉢、コーヒーカップ、かずやクッキー、かずやしんぶんを持って、かずやさんと一緒に苦情の出ている家に行ってきます。まずは謝ること、向こうの言い分を謙虚に聞くこと、一矢さんのことを丁寧に説明すること、声の大きいご近所さんとしておつきあいしてもらえたらうれしい、といったことなどを話してくる予定です。

 結果、どうなるかは今のところ全くわかりません。

 これからも続く一矢さんの大声に

「ったくしょーがねーなー」

と聞き流してくれるようになるのか

「うるさい!」

とまた怒ってしまうか。

 

 苦情にきちんと向き合うこと。ここから、また新しい物語が生まれます。

 どういう物語が生まれるのか。未来に希望が感じられるようなものが生まれるなら、一矢さんの自立生活は社会的にものすごく意味のあるものになります。これこそが重度障がい者が地域に暮らすことの意味だと思います。

 彼らの自立生活が社会を耕すことになるなんて、素敵なことだと思います。

 

 7月31日(土)桜木町駅前の横浜市健康福祉センターホールでぷかぷか上映会をやります。午後「あなたととなりのかずやさん」というタイトルでトークイベントをやります。

たとえば人よりも目立ちやすい側面があったとしても、人と自分は全く違うわけではないし、全く同じわけでもありません。すごく当たり前のことです。   なのに社会の中にいると簡単に「違う」とか「同じ」とかくくってしまいそうになることが多くあります。 それに待った!をかけて、「私たち、ここが違って、ここが同じだね」なんて話がしたくなる作品でした。】(午前中に上映する『いろとりどりの親子』という映画のレビュー)

 一矢さんの自立生活を手がかりに、「私たち、ここが違って、ここが同じだね」なんて話ができたらいいな、と思っています。一矢さんの話は特別なものではありません。あなたの近所にもある話です。だから「あなたととなりのかずやさん」。

 津久井やまゆり園事件から5年目になります。異質なものを排除する社会はどこまで変わったのでしょうか?

 異質なものを排除する社会は、許容できる幅が狭まり、お互いが窮屈になります。違うものがたくさんある方が社会は豊かな広がりを持ちます。そんな社会はどうやったらできるのでしょう。それはたとえば一矢さんの大声とどうやったら共存できるかを考えることだと思います。それはそのまま、やまゆり園事件を超える社会を作ることだと思います。

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 今まで書いた一矢さんの物語はこちら

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