ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか

重度障害の人たちといっしょに生きる。

 先日ぷかぷかに遊びに来た尾野一矢さんの介護の方からの情報です。ぜひ録画予約しておいて下さい。 

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 NHK Eテレ 「ハートネットTV」で《特集・相模原事件から4年 ”施設”vs”地域”を超えて》というのがあります。

●10/6(火) 第1回 “パーソナル”な暮らしをつくる

●10/7(水) 第2回 ”ともに暮らす”は実現できるか

いずれも午後8時~8時29分 

※第1回はドキュメンタリー。事件被害者の一人・尾野一矢さんが津久井やまゆり園を退所し、アパートでの一人暮らしに移行する様子を中心に、日本の障害者福祉の歴史・制度、専門家の話なども交えながら、重い障害のある人たちの「暮らしの選択肢」全般について考える。

※第2回はスタジオ生放送。第1回の内容の一部を振り返りながら、視聴者からの感想、重い障害のある人の家族・支援者からのご意見・体験談なども紹介しつつ、識者や障害当事者がスタジオでトーク。【ゲスト】宍戸大裕(映画監督)海老原宏美(自立生活センター東大和 理事長)荒井裕樹(二松学舎大学専任講師)

ご意見は以下で募集中

https://www.nhk.or.jp/heart-net/new-voice/32/

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 サイトに寄せられた意見を見ると重度障害の人たちの置かれた状況の厳しさがびりびりと伝わってきます。この厳しい状況を変えるには行政などへの働きかけも必要ですが、私たち自身の発想を大胆に変えることも必要な気がします。

 重度障害の人たちに限らず、障がいのある人たちには「何かやってあげる」という

発想が多いのですが、その関係の中で考えている限り、彼らが社会の中で活躍する、役割を果たす、といったことはないのではないかと思います。

 ぷかぷかは、「何かやってあげる」のではなく、「いっしょに生きていく」関係を作ることで、障がいのある人たち、ぷかぷかさんたちが大活躍しています。ぷかぷかが生み出したたくさんの物語は彼らの活躍そのものです。『ぷかぷかな物語』は彼らが生み出した物語の本です。(お求めはぷかぷかのホームページ、もしくはアマゾンで)

 障がいのある人たちに対しては「マイナスの価値」という評価が圧倒的に多いですが、ぷかぷかにあっては「プラスの価値」を生み出しています。

www.pukapuka.or.jp



 

 5年前の「世界がhana基準になったら」という花岡さんのブログは、何かやってあげる関係ではなくて、重度障害の人の生き方に謙虚に向き合うと、ひょっとしたら社会が変わることになるかも、という目から鱗のような問題提起だったように思います。

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世界がhana基準になったら
何が起こるだろう
 
人をことばで傷つけることもない
人に嫉妬したり、恨んだり、
悪口だって言わない
人と比較して見下したり、
卑下したりすることもない
 
あるのは
ただそこに存在することで
ありのままで完全な自分、人生。
 
あるのは
楽しい毎日
喜怒哀楽を自由表現すること
 
誰からどう思われるからとか考えない
誰がどうしていても気にならない
 
hanaは
ただ自分がそうしたいからそうする
 
そして自分が
そのままで完全であり、
愛されていることを
深いところで理解してる。
 
 
世界がhana基準になったら…
 
 
もしかしたら
すへての悩み、争いごと
いじめや不登校、
戦争もですら
なくなるかもしれないね。
 
 (hanaちゃんとお母さん)

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  (hanaちゃん全開!)

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 彼らの存在の意味がここでは全く違ったものになっています。

 人をことばで傷つけ、人に嫉妬し、恨んだり、悪口を言ったり、相手を見下したり、卑下したり…といったことからなかなか抜けられない情けない私たち。hanaちゃんは「人をことばで傷つけることもない 人に嫉妬したり、恨んだり、悪口だって言わない。人と比較して見下したり、卑下したりすることもない。」どうしてそんな生き方が私たちにはできないんだろう。

 nahaちゃんは「人の生きる姿勢」の基本を教えてくれているんじゃないかと思います。hana基準こそ、この閉塞状態にある社会を救うのではないか、なんて思ったりするのです。

 重度障害の人たちをそんなふうに見ていくなら、社会はもっと豊かになっていくような気がするのです。彼らの有り様を、彼らの生き方とみるかどうか、ということです。

 

 5月に始まった「でんぱた」は生活介護の事業所ですが、重度障害の人たちとどんな風にともに暮らしていくかの試みでもあります。でも、ハートネットTVの第2回目のテーマにあるような《”ともに暮らす”は実現できるか》みたいには考えていません。「実現できるか」ではなく、「もうやって当たり前」という感覚。障がいのある人たちといっしょに生きていくことはぷかぷかで10年やってきたので、重度障害の人たちとも「いい一日だったね」ってお互い言える日々を一緒に作っていけば、それがそのまま「ともに暮らす」ことになるのだろうと思っています。

 「でんぱた」は地域の人たちの手を借りながら田んぼや畑の仕事をします。

 6月には地域のたくさんの人の手伝ってもらいながら田植えをしました。

www.pukapuka.or.jp

 そして今日も地域のたくさんの人たちに手伝ってもらって稲刈りをしました。

www.pukapuka.or.jp

 

 田んぼや畑仕事のほかに、一緒にミソを仕込んだり、時には一緒に絵を描いたりして、一緒に人生を楽しみ、お互いの人生を豊かなものにしていきます。《”ともに暮らす”は実現できるか》なんて深刻に考えなくても、その気にさえなれば「いっしょに生きる社会」はできちゃうのです。社会を救う「でんぱた」基準もできるかも。