第6期演劇ワークショップ6回目。来週には本番の舞台。できあがった台本を使って通し稽古をしました。ようやく全体の構成が見えてきて,本番舞台へ向けての緊張感が出て来ました。
ある日一郎の家に山ねこからおかしなはがきが来ます。
「あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。」
どんぐり達がだれが一番えらいかでもめていて、もう三日も続いています。困り果てた山ねこが、一郎に助けを呼び、一郎のアドバイスで解決するというお話です。
2回目の通し稽古のほぼ終わるころ、それまで黙っていてショーヘーさんが突然、
「お肌つるつるどんぐりが一番!」
と主張していたどんぐりグループに向かって
「ケンカはやめましょう。みんな勝手なことをいわないで、お互い仲良くするにはどうしたらいいかを考えましょう。」
と、極めて当たり前のことを言い出しました。いつも物事を深いところで考え、時々哲学的な発言をするショーヘーさんらしい発言でした。
いわれてみれば、全くその通りで、一瞬みんなうろたえましたね。
「え? ま、そうだけど…」
と、言葉が出てきません。
一応、お肌つるつるどんぐりチームに,どうしますか?と聞いてみたものの、
「え?どうしよう」
と、うろたえるばかり。
「ショーヘーさんの一言には胸をつかれました。彼の中では、現実の世界もお芝居の世界もそう簡単に割り切れるものなんかではなく、どんな世界にいてもショーヘーさんはショーヘーさんなんだなと、平和を願う魂の輝きに触れた気がしました」
と感想を送ってくれました。
本当はこういったことこそみんなで考えるワークショップにしたかったのですが、アイデアのないまま、結果的にはほぼ宮澤賢治の原作通りのお話になってしまいました。ショーヘーさんの発言がもっと前にあれば、みんなで考えることもできたのですが、発表を一週間後に控えた今となっては、このまま先に進むしかありません。
ぷかぷかさんの発言に、一瞬その場にいたみんながうろたえたこと、それが今回のワークショップで一番面白かったところです。ぷかぷかさん達との関係性がよく見えます。フラットなおつきあいだからこそ、みんなうろたえたのだと思います。だから面白い芝居ができます。
昨年やった『ほらクマ学校を卒業した三人』では、「何でもいいから一番になれ」という考え方が、悲惨な結末を迎える芝居でした。今年は「自分たちこそ一番」という主張がぶつかり合うものです。ま、それは、でも『どんぐりと山猫』の主題ではありません。
『どんぐりと山猫』は,あくまで一郎の家に山ねこからおかしなはがきが届くところからはじまるひとときの夢のお話です。ひとときの夢のお話が、ぷかぷかさん達といっしょにやるとどんなお芝居になるか、楽しみにしていて下さい。
山ねこ
馬車別当
リスの尻尾