ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか

誰かの足がせまってきておしりごといすから追い出されてしまいました

 9月のワークショップに参加した方の感想です。栃木から新幹線に乗って親子で参加しています。

 

●●●

 

こんにちは。大我です。

今日はセノーさんのことについて書きたいと思います。

前回、初めてのワークショップで、昼休みにロビーで休憩していたら、突然背後から誰かの足がせまってきておしりごといすから追い出されてしまいました。なになに?なんなんだ?と思って、振り返るとセノーさんがいす四つ分をくっつけて、うつぶせになって横たわっている姿。

横になるのに僕の座っているいすが必要だったのだろう。でもその時彼と話したこともない僕はわけがわからなくて、その行動が理解できず、嫌な気持ちになりました。そんな出会い方をしたもので、今回二回目のワークショップでも、もう接するのはやめようと思っていました。

 

そんなある日、母が高崎さんのFacebookにセノーさんのことがのってるよ、と教えてくれました。そこにはぷかぷかのメンバーの人数を聞いてお土産を買って帰るセノーさんの姿。

セノーさんの心優しい一面を知り、果たして自分はそのような気遣いができるだろうか、と自分を振り返りました。そして薬をのんでいてそのために眠くなって横になってしまうのだということを知りました。それを聞いて、僕はセノーさんのことを知りもしないのに好き勝手に変な色眼鏡で見ていたと思い、ちょっと心苦しい気持ちになりました。

知らないってことは怖いことだと思います。

 

 まず、相手のことを「知る」こと。。。セノーさんと僕は価値観も違うし、考え方も違うと思います。そんなだからこそ相手を拒絶し続けるのではなく、向き合うことが必要なのではないかと思いました。僕は自己表現が苦手です。でもセノーさんと向き合う機会があったら、接してみる努力をしてみよう。

そしたら、いすをとらないでよと、笑って言い合えるようになるのかな。

 

 まだ僕は高崎さんがいう「トクだ!」ということがなんなのかわかりません。だから次回も参加したいと思います。

f:id:pukapuka-pan:20181019220958j:plain

 ●●●

 

 セノーさんとの最初の出会い方がいいですね。いかにもセノーさんらしいというか、こうやってセノーさんはマイペースで街を耕しているのだと思います。大我君とセノーさん、今後の展開に目が離せません。

 

●●●

八月の上映会でワークショップの記録映画をみたとはいえ、実際その場にたってみるとこれから一体どうやってつくりあげていくのだろうとその課程にとってもわくわくしている私です。

 

今回、チームに分かれて台本を読み、絵にかいて、そのイメージを今度はお芝居にして発表するという体験がこんなに楽しいなんて思いませんでした。今、思い返すと、あの時の私は“ゾーン”にはいっていたように思います。超集中状態、脳はフル回転、自分と目の前にいるぷかぷかさんだけみえて、周囲は白くばやーっと一切みえてなかったなぁ、緊張とは違う不思議なかんじでした。「スポーツ選手でもないのになん大げさに言いようと?」と笑われてしまいそうですね。

 

まず、私たち「チームクモ」のできあがった絵をみたとき、もし私だったらクモの巣はこういうものだという固定概念にしばられて、あんな色とりどりのカラフルで素敵な絵には仕上がらなかったと思います。そして、それをお芝居にするとき、カゲロウ役であるひらもっちゃんの名役者ぶりに私たちはぐいぐいっと引っ張られ、助けられました。私は彼とは初めてじっくりと、どうしたらいいやろかと相談しながら接することができたのですが、私たちの前でも堂々と役になりきって演じる姿に、なんてたよりになる人なんだろうと感激してしまいました。カゲロウが歌いだすところは、ことばがとても難しくて、彼はとても大変だったと思います。でも、なにかの替え歌にしてうたってみたらどうだろう?と、提案してみたら、ももたろうの歌がみごとにはまり、チームはみんな大笑い。それにあわせて私たちも動きやすく演じやすくなったのです。残念なことに本番の発表ではひらもっちゃん、歌を忘れてしまったようで、みなさんの前であのすっばらしいカゲロウさんの演技を披露できなかったのがちょっと心残りでした。でも一緒に悩んで考えて充実した時間を過ごすことができて、私の幸福度もupしました。

 

このワークショップを体験してみて“寄り添う”ことが大事なんだなぁと気づきました。一番ぴったりくる言葉は“向かい合う”でしょうか。上から目線でもなく下からでもなく同じ目線に立って向き合うことは、とっても大切なコミュニケーションスキルだと思います。

ワークショップに参加するまでの自分は助けてあげようと思ってアプローチすることが多かったです。これからも一緒にぷかぷかさんと楽しい時間がすごせたらいいな、仲良くなれたらいいな、そう思っています。

 

 帰りの新幹線ではいつも息子とその日の反省会&意見交換会です。息子の態度にダメ出ししたり、ぷかぷかさんの話をしたり、息子からきれいごとやろと責められたり、あーだこーだと話していたら、遠い道のりもいつの間にか栃木です。息子はなんだかんだ言いながら次も行く!と言います。親子で心を耕していきたいと思います。                 

                                  きよみ

f:id:pukapuka-pan:20181019221047j:plain

●●●

 芝居作りの中で、すごくいい出会いをしたようですね。ふだんの生活では絶対に経験できないような出会い方。今回初めて参加された方の新鮮な感想を読んでいると、演劇ワークショップに中の出会いの大切さをあらためて思いました。

                        

丹波の村の人たちのそういったチカラの上に

 【知的障がいのカップル挙式 地域の祭りで「村人前式」】は胸が熱くなるほどのすばらしい記事でした。

 記事の中でいいなと思ったのは、花嫁のお母さんが二人のことを村の人たちにまかせたところです。お母さんは神戸、二人は丹波です。列車で2時間半ほどかかります。

 以前、卒業生が当事者同士で結婚したことがありました。たくさんの人たちが支えていましたが、中心はやはりお母さんでした。その当時はまだ教員をやっていたので、地域のつながりなどといったものはあまり見えていませんでした。

 でもぷかぷかを始めてから、地域のつながりの大切さに気がつきました。だからこそ、お店だけでなく、パン教室や演劇ワークショップ、アートワークショップ、様々なイベントでたくさんのつながりを作ってきました。地域のつながりに支えられて、いまぷかぷかは霧ヶ丘で様々な事業が展開できています。

 

 そういう目線でこの記事を読むと、お母さんが二人をまかせた地域社会が見えてくるのです。信頼できる地域社会。それはやはり二人が働いている事業所がこつこつ作ってきたのだと思います。その努力の上に、村民あげて二人をお祝いしよう、という雰囲気ができたのだと思います。公的な支援はもちろんあると思うのですが、それ以上に村の人たちの泥臭くてあたたかい支えです。こういう関係は黙っていてもできるものではありません。はやり事業所が積極的に地域に出て行き、関係を作ってきたのだと思います。

 

 いつかぷかぷかにもこんなカップルが現れたらなぁ、と思っています。ぷかぷかには支えて下さるファンの方がたくさんいるので、カップルが現れたら、すぐにでも応援団ができるのではないかと思います。昨日もテラちゃんが若い男性といっしょに撮った写真をアップしていたら、「フィアンセですか?」なんて書き込みがありました。

f:id:pukapuka-pan:20181019124555j:plain

 カップルが一緒に暮らすには何が必要なのか、家はどうするのか、家賃はちゃんと払えるんだろうか、毎日のごはんはちゃんと作れるんだろうか、そのための買い物は大丈夫だろうか、そもそもお金の管理は大丈夫だろうか、等々、心配すればきりがなく、次々に解決しなければならないことがいっぱいでてきます。

 更には子どもができたらどうするのか、ちゃんと二人で育てられるんだろうか、それが難しいときはどうしたらいいんだろう、等々、難しい問題が次々に起きてきます。

 どこまで本人にまかせ、どこからお手伝いに入るのか等々。

 それらを一つ一つみんなで考えていくのです。考え、解決していく中で、私たちが鍛えられます。地域社会が本当のチカラを持つことになります。

 丹波の村の人たちのそういったチカラの上に、このカップルの挙式があったのだと思います。

headlines.yahoo.co.jp

初めて土曜日に会ったのに、 わたしはみんなを知っていました

 ぷかぷかはFacebookにぷかぷかさんの顔と名前(ニックネームですが)をのせています。街で出会った人が、

「あの時、あの仕事してたね」

とか

「今日もいい顔してがんばってたね」

って、声をかけてもらえたら、と思っているからです。障がいのある人たちと、健常者といわれる人たちが分けられている社会の中で、Facebookの発信は大事な出会いを作ってくれます。

 ワークショップにはじめて参加した方が、Facebookでぷかぷかさん達のこと知っていたので、初めて会った気がしなかった、とおっしゃってました・

 

 ●●●

22日も思ったし、どこかで高崎さんが、おっしゃっていたのですが、

顔も名前も出して、ここにいるよ、と知らせているのは、いいことだと思いました。

(普通のことでもあります。)

ぷかぷかさんの情報発信で、初めて土曜日に会ったのに、

わたしはみんなを知っていましたし、

「ぷかぷか」に勤めている、ということを糸口にして、「パンを作っているのですか?」ということからお話できたからです。

 

なんの情報も隠して、その地域にいることも隠して生きていたら、

「あなたはだれで、」「普段、なにをして過ごしているの?」も、わかりません。

分断されていると、よけいお互いわからなくて、怖くなってしまうよな、と、書きながら、今、改めて思います。

●●●

 

 グループホーム建設反対運動では

「障害者は犯罪を犯す」

といったひどい言葉が飛び出しますが、障がいのある人を知らないことによる偏見であり、思い込みです。

 子どもの時は支援学校あるいは養護学校へ行き、大人になってからは福祉事業所に行くという形で、お互いがおつきあいする機会がほとんどありません。それがこういった偏見、思い込みを生みます。偏見、思い込みは社会を貧しくします。

 おつきあいすることで生まれる豊かな世界を思うと、障がいのある人たちと健常者を分けるのは、すごくもったいないことだと思います。

 そんな社会にあって、ここにこんな人がいて、こんな仕事をしています、という日々の発信は、社会を豊かにしていくとても大事な仕事なのです。 

 ぷかぷかさん達のこんなすてきな笑顔が、社会を豊かにするのです。

f:id:pukapuka-pan:20181010001721j:plain

 

 

ぷかぷかという場所がとても豊かな場所に

 昨日、東京から見学に来られた方の感想です。

 

●●●
初めてお邪魔した者として、「ぷかぷか」のパン屋さんが見えてきた時から、賑やかな声が聞こえてきたのが印象的でした。それだけで、ワクワクしました。
きっと、閉鎖的な作業所などとは違って、ぷかぷかさん達の声や姿が生活空間に溢れ出ていることが、私にとって最初の驚きだったのだと思います(それだけ障害を持っている人たちと接する機会が少ないということなのでしょう)。
 
そして、お店の前を歩いていたら、テラちゃんが話しかけてきてくれて、「わんど」の中に誘ってくださいました。その様子から、テラちゃんは、この場所を誇りにおもっていて、他の人たちと共有したいのかな、と思いました。そして、中にいた他の人たちも、私たちの名前を聞いてくれて、挨拶をしてくださいました。「自分たちの場所に、お客さんを迎え入れる」という感じなのでしょうか。そこに私が感じたのは、皆さんが、その場所を自分たちの場所だと思っているということでした。
 
「ぷかぷかさんのおひるごはん」でランチをいただいた時にも、メニューが「佐藤さんの誕生日メニュー」ってなっていて、びっくりしました。佐藤さんが誰かわかりませんでしたが、これを見ただけで心が温かくなりました。こういったところに、ぷかぷかさんが一人一人とのつながりを大事にされていることが伝わってきました。そして、席から厨房の中で働く皆さんの姿が見えたことがとても良かったですし、運んできたくださったご飯がとっても美味しかったです。丁寧に作られていて、栄養満点でした。
 
 
私は、差別や偏見に抵抗するには、障害を持っている人たち自身が元気でいられることが何よりも大事だと思います。その人たちが、自分たちの表現方法で他の人たちとつながれること。それによって、私たちも元気をもらったり、自分たちの中にある差別意識や偏見と向き合って、自分を少しづつ変えていけるのだと思います。ぷかぷかさんは、まさにそんな場所だと思いました。お互いがお互いのあり方を尊重して、必要な時には間違いを指摘できる。そんな信頼関係は、簡単には作れるものではないと思います。自由だけれど決して雑ではなくて、丁寧に対話を重ねて作られてきた場所なのだと思います。また、その過程で近隣住民の方々に新聞を配布して、顔の見える関係性を築いてこられたことも、あの場所を支える大事な土壌になっているようで、大変勉強になりました。
●●●
 
もう一つ、昨日は運動会の振替休日で、あえてぷかぷかを選んでパンを買いに来た親子がいました。Facebookに記事が載っていました。
 
●●●

以前、パン教室に参加された親子さん達が
パンを買いにきてくれました🥖
運動会の振替休日‼️
ぷかぷかに行きたい‼️と😊

嬉しいです😊

f:id:pukapuka-pan:20181016000751j:plain

一緒にごはんを食べたスタッフは 

 

一緒にご飯を食べて、そのままお手伝いしてくれて、かくれんぼして😊

運動会で1位になったことを教えてくれたり、

拾ったどんぐりを見せてくれたりしました。

本当に楽しい時間でした😊😊

また来てくださいねー

f:id:pukapuka-pan:20181016000931j:plain

そしてお父さんは帰りの自転車で、

 

あー たのしかった 😄

ひさしぶりにあっちゃんにあえたね!

あえるとおもわなかったね!

またぷかぷかさん、いこうね ✨

まま!

と大満足の息子でした。

息子と遊んでくださった皆様、ありがとうございました

 

 

先日の「唄絵屋さんのお絵かきライブ」にはたくさんの子ども達が集まり、ぷかぷかさん達と楽しい時間を過ごしました。集まった子ども達は、もう「自分の居場所」という感じで楽しんでいました。

f:id:pukapuka-pan:20181016004625j:plain

f:id:pukapuka-pan:20181016004517j:plain

 

 ぷかぷかに来ることを楽しみにしている子どもがいるって、本当にうれしいです。ぷかぷかに来たことが本当によかったと言って下さる大人がいることも、本当にうれしいです。

 気がつくと、いろんな人がいろんな風にぷかぷかを楽しんでします。そのことでぷかぷかという場所がとても豊かな場所になっています。今日は15人くらいの団体が二つもやってきて、大変なにぎわいでした。

 

 

一緒に生きるからこそ楽しい物語が

 先日、映画『ぷかぷかさんカナダをゆく』をぷかぷかさん達と見ました。

f:id:pukapuka-pan:20181010001027j:plain

 自分たちの仲間がカナダに行ったということで、みなさん興味津々という感じで見ていました。珍道中ぶりに、素直にみなさん笑っていましたね。中には泣いてしまったとあとで話した方もいました。

f:id:pukapuka-pan:20181010001721j:plain

 

 やっぱりぷかぷかさん達がいてこそできた旅だったとあらためて思いました。

 カナダに行ったきっかけは、世界自閉症フェスティバルの主催者がぷかぷかのプロモーションビデオを見て、フェスティバルの会場で上映して欲しいという依頼が来たことです。

 プロモーションビデオはぷかぷかさんがいてこそ作ることができたビデオです。何よりも彼らの魅力を伝えるために作ったビデオです。ビデオを作ったのはpvプロボノという映像のスキルボランティアをやっている人たちです。「なんのために映像をつくるのか」「映像を何に使うのか」といった審査があって、作ってもらうことになったのですが、これもぷかぷかさんの魅力を書くことでパスしました。

 ぷかぷかさんがいなければ、あのすばらしいプロモーションビデオはできなかったのです。pvプロボノの素敵な人たちとの出会いもありませんでした。pvプロボノの人たちは映像を作っていく中で、すっかりぷかぷかさんのファンになりました。

 

 ぷかぷかさんがいると、とにかくいろんな物語が生まれます。彼らと一緒に生きるからこそ楽しい物語が生まれます。楽しい物語が生まれるから、一緒に生きててよかった、としみじみ思います。『ぷかぷかさん カナダをゆく』のラストシーンで涙がこぼれてしまったのも、そんな思いがあふれたからだと思います。

 『ぷかぷかさん カナダをゆく』は時々「わんど」や「ぷかぷかさんのおひるごはん」で上映する予定です。お知らせを出しますので、ぜひ見に来て下さい。

 

子どもたちの辛さを自分の辛さとして受け止める。その想像力。

 「PVプロボノ+ぷるすあるは」が制作した精神障がいの親を持った子どもへの限りなく優しいメッセ−ジを見つけました。

 私は親の立場で精神障がいの子どもと毎日格闘していますが(本当に体を張っての格闘です)、これが子どもの立場だったら私の何倍も大変だろうと思います。私は毎日子どもにごはん作っているので、子どものごはんがとても心配です。たとえばお母さんが精神障がいを持っていて、調子が悪いときは食事も作れないときがあると思うのですが、そんなとき、子どもはご飯をどうするのだろう、とリアルに心配します。自分で食事を作れない小さな子ども達はほんとうにどうしてるんだろうと、考えただけで辛くなります。

 そんな子ども達を支える社会を作っていこうっていう呼びかけ。このビデオ、子どもが関わるあらゆる機関の大人達(特に学校の先生達)に見て欲しい。切実に思います。

 精神障がいの親を持った子どもに限らず、様々な問題と日々悪戦苦闘している子ども達にみんなが寄り添い、みんなで支えていこうって大人達が思ったら、社会はもっともっと豊かになります。

 ビデオの中で、「あの子は心を開かない的な大人の発言に、開いたら受け止められるキャパがあるんかい」と大人達に投げかける場面があります。全くその通りだと思います。私たち大人の貧しさを子ども達は見抜いています。子ども達の悩みに本気で寄り添う気があるのか、子ども達の日々の悪戦苦闘を、想像できているのか、精神障がいの人を社会の中できちんと受け止めているのか、といったことです。

 子どもたちの辛さを自分の辛さとして受け止めること。その想像力。それが自分の中のキャパを広げ、社会を豊かにします。www.youtube.com

  制作スタッフの名前を見ると、この中の何人もの人がぷかぷかの映像制作に関わっています。センスがよくて、心優しい人たちなんだなぁ、と思いました。みんな、ありがとう!

制作スタッフ

プロジェクトリーダー、CD(クリエイティブディレクター):宮原契子

演出、編集:内田英恵

撮影:髙橋聡、中野貴大

音楽ディレクター(録音、MA):藤木和人

作曲、演奏:川嶋成美、藤木和人

アルハ(声):佐藤信二

事務局プロジェクト担当:髙橋克人

イラスト、衣装、小物:チアキ

出演:たのなか先生、センセ、チアキ、キタノ

 

 

★子ども情報ステーション(大事な情報が満載)

kidsinfost.net

上からじゃない、平らだからこそ、ひとりひとりのもってるよさが引き出されてくる

 金沢の水野スウさんが自宅で開いている「紅茶の時間」で第一期演劇ワークショップ記録映画を上映するというので日帰りで行ってきました。

 玄関がすごくよかったです。木の表札、木の「紅茶の時間」がすばらしくいい。

f:id:pukapuka-pan:20181010224739j:plain

f:id:pukapuka-pan:20181010224745j:plain

f:id:pukapuka-pan:20181010224755j:plain

カランカランとベルを鳴らして入るのですが、紅茶の時間が始まると鳴らさずに入って下さい、という札になります。

f:id:pukapuka-pan:20181010225008j:plain

シンプルでおいしい昼食。お皿がすばらしかったです。

f:id:pukapuka-pan:20181010225229j:plain

スウさんと旦那さん

f:id:pukapuka-pan:20181010225325j:plain

 

 20人くらいのこぢんまりした上映会でしたが、とても密度の濃い話ができたと思います。映画もよかったけど、やっぱりタカサキさんに直接会って話が聞けたのがすごくよかったと何人もの人に言われ、出かけてよかったと思いました。100人とか200人の上映会では、こんな密度の濃い話はできなかったと思います。

 

 80歳に近いお姉さんがいる方は、映画を見終わったあと、姉がこんな所にいたら、もっと幸せな人生を送れたんじゃないか、と涙を流しながら語っていました。お姉さんは知的障がいがあって、施設に預けているそうですが、施設長に、「何にもできないのに、手ばかりかかる」などとひどいことをいわれ続けたそうです。福祉施設なのに、何もできないことをいうのはおかしいのではないかと、言ったそうですが、聞き入れてくれなかったそうです。だからお姉さんは、ずっとそういうことを言われ続け、本当に辛い人生を送ってきました、と涙を流しながら語っていました。映画を見て、姉がぷかぷかのような所にいたら、全く違う人生だったと思います、と。

 

 ぷかぷかが始まって2年目くらいに、以前作業所にいたぷかぷかさんが介護認定調査の際「最近、仕事はどうですか」というケースワーカーさんの問いに

「以前は毎日うつむいていましたが、今はまっすぐ前を向いて生きています」

と答えたことがありました。ぷかぷかの仕事がそんな言葉で語るくらい彼女の人生を支えていたようです。

 ぷかぷかに活気があるのは、みんながそんなそんな思いで働いて、みんなの生き生きとした人生が渦巻いているからだと思います。

 

 80歳に近いお姉さんのいる方は、映画を見ながら、そのことを感じられたのだろうと思います。

 お姉さんは昔から絵が好きで、私たちには思いつかないような面白い絵を描くとおっしゃっていました。だったら、その絵を何枚か写真に撮っておくって下さい、とお願いしました。ぷかぷかはぷかぷかさん達の絵を社会に出していくことを一生懸命やっているので、ひょっとしたら社会に出していく一枚になるかも知れません。ずっと施設の閉じた世界に生きてきたお姉さんの絵が社会に出て行って、たくさんの人の心を癒やすようなことになったら、お姉さんの人生が、今までと全く違うものになるかも知れません。辛いことばかり多かった人生が、前に向かってゆっくりと動き始めます。

 

 水野さんご夫婦が、そろって「ぷかぷかは13条そのままですね」とおっしゃっていました。13条は憲法13条です。

【第13条】

 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

 水野さんの娘さんが13条と出会ったときの話をこんなふうに書いています。

 ーはじめて13条を読んだとき、「個人として尊重」と「幸福追求の権利」という言葉が真っ先に飛び込んできました。個の人、ってことは…たった一人の人として、ほかの誰ともとりかえのきかない存在として、大切にされる、っていうこと?なんかこれって『ほめ言葉のシャワー』の最後に書いたこととつながっている気がするよ。

 しかも「すべて」だから、社会の役に立っている人だけ、テストの点のいい人だけ、GDP国内総生産あげるのに貢献している人だけ、とかそういう条件一切なしの、どんな人も、だ。ってことは、私も?

 何も立派なことのできていない自分が恥ずかしくて、幸せになる資格なんかないって、私が私を責めてたときも、ずっと13条は「ううん、そうじゃないよ、何かができる/できないは関係ない。たった一人のあなた、ただそれだけで、大切な存在なんだよ。生きて幸せを追い求めていいんだよ」って言い続けてたの?憲法って、もしかして、私の味方…

          『たいわ けんぽう BOOK」

         (この本はぷかぷかにも置いてます。アート屋わんど魚住まで)

 

 

 80歳に近いお姉さんに「何かができる/できないは関係ない。たった一人のあなた、ただそれだけで、大切な存在なんだよ。生きて幸せを追い求めていいんだよ」っていう環境があれば、お姉さんの人生は全く違ったものになってたはず。ぷかぷかは期せずして13条やってました。みんなでぜひ13条やりましょう。そうすればお互い、もっと生きやすい社会になると思います。

 

 今朝アップされた水野スウさんのFacebookにはこんなことが書かれていました。

10日のとくべつ紅茶。ぷかぷかさんの約半年におよぶ演劇ワークショップの映像記録「もうひとつの 森は生きている ぷかぷか版」の上映+ぷかぷか村長こと理事長の高崎さんのおはなし会。

急なよびかけに、しかも、ほとんどのひとが、ぷかぷかって何?誰?状態できてくれたにもかかわらず(笑)、最後は、ほんとにきてよかった〜〜!!って顔になってたのがうれしかったな。
2時間におよぶドキュメントのあちこちで、おもわずあったかい笑い声になんども包まれる。私が一人でDVD見たときに感じたしあわせ感を、きてくれた20人弱のひとたちと共有する。

養護学校の先生を30数年してた高崎さん。先生になりたてのころはとまどうことばかりで、毎日おろおろしながら、はだかで彼らとむきあうしかなかったこと。そのおかげで、どんどん自分の規範が外され、高崎さん自身が自由になっていったこと。退職後も、障がいをもつ彼らと一緒に生きていく場をつくりたくて、パン屋さんぷかぷかをすぐにはじめたこと。

映像なしに、言葉だけできいてたら、ほんとかな、って思う人もいるかもしれない。でもワークショップ映像を見た後は、その言葉にいっぱいうなずける。参加した人同士で「ぷかぷかさんといるとなんで楽しいんだろうね〜」「なんでだろね〜〜」といいあう映像場面をみながら一緒に、うん、うん、してる自分がいるから。

ぷかぷかパン屋さんをはじめる時、お店だからやっぱり接客を学んだ方がよかろうと、その方面の講師にきてもらって練習した。でも、講師のいう通りにしてるぷかぷかさんたち、気色悪かった、痛々しかった、って。マニュアル通りにするってことは、自分を殺さなきゃいけないことだから。そこで、最低限、お客さんが不愉快でなければいい、とリスク100%ではじめたけど、逆にそれが新鮮、一所懸命さが伝わってきて、ぷかぷかさんのファンが生まれた。意図したんでなく、そうなった。

福祉施設は「支援」をしたがる。それって上から目線でしょ。ぷかぷかさんたちには、できないこといっぱいあるけど、彼らといるといろんなおもしろいことが起きる。彼らといる時間はここちいい。ありのままの自分でいられる。
彼らがいることでぼくら自由になれる、ほっとする。ぷかぷかさんに、支援されてるのは僕の方だ。彼らの存在がまちを耕すという働きをしている。まちを豊かにしている。そういうふうに人をみていくと世界がかわっていく。だから、彼らと一緒にいきてったほうが得なんです、と高崎さん。

映画の後は、高崎さんが話すというより、終始、参加した人たちとのきもちキャッチボールタイム。心をひらいて自分の思いを話すと、高崎さんがうけとめて、ときにはその人に必要な具体的なヒントも提示してくれる。

ぷかぷかさんの時間に、私はなんどもクッキングハウスを重ねてた。クッキングハウスにいくと、なんであんなにほっとするんだろう、いごこちいいんだろう。それは一人一人が、なにができるできないのdoで測られずに、存在そのもののbeで大切にされてるからだ、って思ってるけど、それと共通のもの、13条的な場の意味をぷかぷかさんにも感じた。上からじゃない、平らだからこそ、ひとりひとりのもってるよさが引き出されてくる、ってこと、この日のpukapukaな時間でもいっぱい感じたよ。

 

 水野さん、素敵な場を作っていただき、ありがとうございました。