ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

ぷかぷか日記は以下に移転しました。
ぷかぷか日記 – NPO法人ぷかぷか

「渋谷のラジオ」でのいちばんの発見

 「渋谷のラジオ」に行ってきました。「渋谷のラジオ」は小さいながら、「様々な多様を認め合うメディアとして、社会的なテーマも積極的に取り上げていきます」ということで、毎週火曜日、サービスグラントが様々なプロボノ活動を紹介しています。月一回pvプロボノの時間があって、今日はpvプロボノが2年続けて映像を作った「ぷかぷか」がテーマになったというわけです。

 

 今日の司会をやったpvプロボノのプロデューサー中島さん。昨年のプロモーションビデオは中島さんが中心になって作りました。手前はコピーライターのいなおさん。

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 私の話はいつも通り適当にしゃべっていたので、何を話したか、横浜まで帰ってきたらもうほとんど忘れてしまいました。でも、先ほどの放送がもうアップされていましたので、興味のある方は今日の日付の「渋谷のプロボノ部」にありますので、聞いてみて下さい。

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この写真が貼り付けてあるコーナーです。

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 昨年のプロモーションビデオを見てぷかぷかで働こうと思ったサエグサさんの話は新鮮でした。

 以前はカフェのお客さんだったそうですが、プロモーションビデオを見て、

「ぷかぷかで働きたい!」「彼らと一緒に生きていきたい!」

と思ったそうです。

www.youtube.com

 わずか5分の映像です。その映像が人を動かした、ということです。pvプロボノのホームページに「映像のチカラ」という言葉がありますが、サエグサさんの話を聞きながら、映像には本当にそのチカラがあるんだと思いました。映像を作る前、pvプロボノの方には「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージを込めて欲しいとお願いしました。それをどう表現するか、すごくむつかしいテーマだったと、今日も司会の中島さんがお話しされていました。

 メンバーさんの楽しそうな顔、生き生きと働く姿、笑顔、笑顔、笑顔。「いっしょにいると心ぷかぷか」というすばらしいコピーが最後のさくらの花びらが散るシーンと重なります。あのシーンに感動しました、とサエグサさんはおっしゃっていましたが、映像を見た次の日にぷかぷかに電話し、面談を受けたそうです。

 「一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージがストレートに伝わったのだと思います。

 今日の放送のはじめに、どうしてメッセージを映像にしたかったのか聞かれました。第一期演劇ワークショップの記録映画を見たとき、映像が伝えるものの多さにびっくりしたことがあります。それまでワークショップのことを何度もブログに書いていましたが、それをはるかに超えるものが映像からは伝わってきました。言葉を超える圧倒的なチカラを感じたのです。それがpvプロボノに映像制作を依頼するきっかけでした。

 そうやってできた映像が、本当に人を動かしたこと。そのことが今日の「渋谷のラジオ」でのいちばんの発見でした。

 

 6月17日(土)の上映会では、今年できあがった新しいプロモーションビデオも上映します。このpvは制作途中で相模原障害者殺傷事件が起こり、それへのメッセージを込めたいと思いました。プロデューサーの信田さんは映像制作を終えて次のように書いています。

 

 今回の映像の打ち合わせが始まったのは2016年秋、当初高崎さんは7月に相模原でおきた障がい者殺傷事件に強い憤りを感じていて、事件に対する具体的なメッセージとしての映像を望んでいた。しかし具体的なメッセージを描こうとすればするほど、僕は意見の異なる人たちと同じ土俵に上がることへの違和感を感じるようになっていた。同じ土俵に上がることは同じモノサシで意見を述べることであり、「いなくなればいい」とか「いた方がいい」という直線的な論議では、ぷかぷかが生み出している豊かな空気感(仮にぷかぷか現象と呼ぶこととする)を伝えきれないと思ったのだ。もっと立体的な座標軸の中でぷかぷか現象を捉え映像にすることで、結果としてメッセージになるようにしたいと思った。

 

 去年の映像もそうでしたが、「ぷかぷかさん」達の作り出す豊かな空気感 こそが人を動かすのだと思います。

 

 たまたまですが、今日、渋谷からの帰り、電車の中で藤沢周平の『暁のひかり』を読みました。何度も読んだ作品ですが、朝、出がけにふっと読みたいと思い、カバンに入れて出発したのでした。

 賭場で壺ふりをやっているやくざな男が主人公です。明け方、窖(あなぐら)のような賭場から出てきた主人公が、朝の光りの中で、杖をついて必死に歩こうとしている足の不自由な少女に出会います。この出会うまでの風景の描写が、何度読んでもすばらしいです。少女に出会う中で、主人公はもともとあった優しい心、まっとうな心を、つかの間、取り戻します。

「あの子が一生懸命なのが気持ちいいっていったんだ。俺にもあんな気持ちの頃があったからな。親方に叱られながら、鏡を磨いていた頃だ。腕のいい職人になることだけを考えていた」とバクチ打ちはつぶやきます。

 バクチ打ちの世界から人を引っ張り上げるほどのチカラを実にうまく表現した作品だと思います。ただ作品そのものは救いのない結末を迎えるのですが…

 

 「ぷかぷかさん」達の映像は、多分、そんなふうにして、人を変える可能性を持っている気がするのです。

 

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