ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

障がいのある人を雇用することは、お互いが豊かになるということ。

 瀬谷区役所の人権研修会で、少しお話しする機会をいただきました。障害者雇用がテーマになっていたので、それにつながるお話です。

 最初に障がいのある人たちとは一緒に生きていった方が「得」だよ、というお話をしました。これはいつも言ってることですが、おつきあいすれば人間としての幅が広がること、それは自分を豊かにすること、心が癒やされること、日々が楽しいこと、だから彼らとはつきあった方が得!と。

 ぷかぷかの週一回のパン販売は区役所を豊かにしている、という話もしました。区役所の売り上げは,始めて5年目の今、日によりますが、始めた当初の10倍くらい売れることもあります。売り上げはパンのおいしさ+アルファが生み出していて、ぷかぷかの場合、この+アルファの部分が売り上げを伸ばすいちばんの要素です。+アルファはメンバーさんが販売することで生まれる「なんだか楽しい」「癒やされる」「心が温まる」などの雰囲気です。ふつう仕事中はみんなまじめな顔して仕事しているので、こんな雰囲気を味わえることは幸せな気持ちを味わえる時間だと思います。だとすれば、ぷかぷかは週一回、昼休みのわずか1時間ですが、区役所を豊かにしているんじゃないか、というわけです。一日の中でぽっと心があたたかくなるような時間て大事ですよね。それがあるから、また生きていこうって思えるというか…

 何よりもぷかぷかのメンバーさんとつきあえるわけですから、それだけで人は豊かになります。外販のお店にやってくると、「やあ!」ってメンバーさん達とハイタッチするお客さんが何人もいます。こんな関係でいられるって、すごくいいなって思うのです。障がいのある人たちと会うのを楽しみにしている人たちがいる、ということ。社会をざっと見渡しても、そんなふうに思う人はなかなかいません。そういう関係をぷかぷかのメンバーさん達は、こちらが何も言わないのに自分たちで作ってきました。考えてみればすごいことだと思います。外販はですから、ただ単にパンを売り買いする場ではなく、お互いが豊かになれるような「場」でもあるのです。

 ぷかぷかのパン屋にはこんなに人が並びます。社会から疎外されている人たちのお店にこんなに人が並ぶのは、社会の希望だと思っています。(瀬谷区役所の外販)

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 仕事は人生を支えるもの、という話をしました。エミちゃんはぷかぷかで働き始めて2年目、「最近どうですか?」とケースワーカーさんに聞かれ、「以前は毎日うつむいていましたが(ぷかぷかに来る前は作業所で働いていました)、今はまっすぐ前を向いて生きています」とすばらしい言葉を語りました。この言葉をきっかけに、ぷかぷかの仕事はメンバーさんの人生を支えるもの、豊かにするものと考えるようになりました。そういう仕事を提供しているので、みんな仕事がほんとうに楽しいようです。ぷかぷかに見学に来られた方はたいがい「ここは明るいですねぇ」「笑顔が多いですねぇ」と言われます。空気感が違う、とも。

 昔担任した生徒で一般就労した方がぷらっとお店にやってきたことがあります。給料がいいので、貯金を300万円も貯めているそうです。イタリア旅行にも行きました。でも貯めたお金をどんなふうに使うのかのビジョンはありません。休みの日は打ちっ放しのゴルフ場に行くそうです。「楽しい?」「いや、別に。」という返事。一般就労したのはいいのですが、いい人生送っているのかなぁ、と思いました。

 ここまで来てようやく障害者雇用に必要な視点の話になります。

 障がいのある人たちと一緒に生きていくことは自分を豊かにすることです。障がいのある人たちを雇用することは、職場を豊かにすることです。職場が豊かになれば、社会が豊かになります。

 障害者雇用は雇用の面で「障がいのある人たちと一緒に生きていく」ということを実現するものだと思います。だとすればなおのこと、彼らを雇用すると、私たち自身が豊かになるという視点を持って欲しい、とお話ししました。

 障害者雇用達成率だけが、語られる現状では、彼らを雇用することで得られる豊かさを見逃している気がします。なんとももったいない話です。彼らと人として出会って欲しいと思います。それがあってはじめて彼らとおつきあいして得られる豊かさというものを実感できます。

 仕事は彼らの人生を豊かにします。彼らを雇用することは、お互いが豊かになる、ということです。そういうことが抜け落ちた障害者雇用に関する議論はなんだか淋しい気がします。