ぷかぷか日記

ぷかぷか理事長タカサキによる元気日記

昔ガンになったときの話−7

 術後5日目、朝と晩に背骨のところから入れていた痛み止めの点滴をやめました。それまで手術以来ずっと続いていためまいや幻覚が、ウソのようにぴたっと止み、久しぶりに晴れ晴れとした気分になりました。

 幻覚ははじめ、これが幻覚なのかどうか、よくわかりませんでした。昼間、目を開けているときでも、ふっと夢を見ているような感じになり、なにやらものすごく恐ろしいものがわーっとおそってくる感じがして、その度にびくっと目が覚めました。目が覚めたあとは、なんとも不愉快な感じが残りました。それが多いときは数分おきにあって、一体どうなってしまったんだろうと、不安でいっぱいでした。

 看護婦さんに変な夢を見て、気持ちが悪いことを訴えたのですが、「ぐっすり眠れば大丈夫よ」ぐらいしか言ってくれなくて、不安は一向に解消しませんでした。眠っているときも、その変な夢はおそってきて、もう眠るのが怖いくらいでした。

 あれが幻覚だったと気がついたのは、点滴をやめた日、すっきりした気分で隣のベッドの人と話をしていて、「ああ、それは幻覚だよ」と言われたときでした。強い鎮痛剤の副作用だったようです。手術以来、ずっと続いていたもやもやした気分が、ようやくすっきり晴れた気分でした。

 めまいと幻覚がなくなると、急に元気になって、病棟の廊下を点滴を抱えたままうろうろ歩き回りました。

 おなかの中に太くて堅いビニールパイプが横向きに入り込み、それがまわりの肉を巻き込み、少しでも動くと、ギュウッと締め付けてくるような強烈な痛みがありました。歩くとその痛みが更に増して、「ああ、うぅーっ」と思わずうなってしまいました。それでも歩くことは復帰への一歩であり、どんなに痛くてもそこには未来への希望がありました。そして何よりも、また生き返った気がしたのでした。